他人の写真

津原泰水という作家を知っていますか。

わたしは知っていて、まぁ好きなのですけど、そのあたりの話をします。

 

わたしは猿渡シリーズ?豆腐伯爵シリーズ?という彼の作品群が好きで、そこから彼を知りました。

中学二年の頃でした。

例によってBLを感じたからです。

 

そんな私が高校に進学します。結局中退しますけど。

そうすると入学してわりとすぐに文化祭が始まりました。

どこもそうだと思いますが高校一年の文化祭とは特に何かあるものではありません。

催しもよくわからないものでした。

二年三年になって初めて「お化け屋敷」や「クレープ屋」なんかが出来るのでした。

 

そんな高校一年の文化祭の中で、私にとって一番の思い出は「古本市」です。

何と言っても安かった。ブックオフなんて目じゃないほど安かった。

わたしは興奮のあまり10冊ほど買い込み帰宅時にはなかば仰け反りながら、意識を失いかけながら、道中を本と共にしました。

 

その買った10冊の本のうちの一つが津原泰水作「ブラバン」でした。

ブラバンについては事前にあらすじを知っていましたが、青春小説に興味のない私が手を出すことのないだろう本でした。

ただ安さにつられて買いました。10円とかでした。

 

家に帰って買ってきた本を並べ悦に浸り、どれから読もうか・日焼けしてる本ってやっぱやだなと思っていると、何かが落ちました。

しおりかチラシかと思いました。

しかし、それは写真でした。

どこかの中学校の、クラスの、遠足の、集合写真でした。

 

見た瞬間わたしはなんとなく背筋が凍って、君悪く思いつつも、「なんだか小説みたいじゃあないか」などと思いました。

わたしはこういう体験が好きで、ロマンチストなんですね。

気色悪く思われますかね。どうでしょうね。

 

その写真を載せたいのですが、いろいろと恐ろしいので止めます。

ただ、この集合写真を「ブラバン」に挟む意味や、古本市に寄付した意味、その集合写真の誰もが気怠げで視線すらあっちこっちに向いている全てが、いい感じに小説っぽく、わたしの思い出を彩っております。

 

備考  小説ブラバンは青春部活小説なので、眩しすぎ、つらく、読了には至りませんでしたことを書き添えます。

 

 

おわりです